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口頭

粒子線によるDNA損傷メカニズムの新展開; 粒子線が生成する電場の効果

森林 健悟

no journal, , 

粒子線が生体内に入ると生体中の分子(主として水分子)を電離させ、電子を発生させ、その電子が他の分子と衝突してOH分子のようなラジカル分子を発生させる。この電子やラジカル分子とDNAとの相互作用により、DNA損傷を引き起こすと考えられている。今回は、その他の過程として粒子線との相互作用によって電離した分子が作りだす電場のDNA損傷の影響を議論する。電場は、(1)DNA中の分子を電離させ、さらに(2)自由電子(分子から電離した電子)の運動を変化させる可能性がある。200keV/uのエネルギーの陽子線,ヘリウム線を照射した場合、ヘリウム線の方が粒子の軌道よりも倍程度遠いところで電離する可能性があることを見いだした。また、ヘリウム線の場合、数割の自由電子は、粒子の軌道から数nm以内にトラップされる可能性があることがわかった。これらの電子の電子衝突過程により新たな電子やラジカル分子を発生させることができるが、これらの電子やラジカル分子の増加はDNA損傷の増加につながる可能性がある。

口頭

重粒子による水の放射線分解; 水分解ラジカルの空間分布とダイナミクス

山下 真一; 勝村 庸介; 前山 拓哉*; Meesungnoen, J.*; Jay-Gerin, J.-P.*; Baldacchino, G.*; 村上 健*

no journal, , 

水は生体主成分であり、最もありふれた物質の一つであるものの、その放射線分解についての理解は必ずしも十分ではない。中でも重粒子線は初期の物理過程におけるエネルギー付与密度が非常に高く、後続の過程が$$gamma$$線やX線とは異なってくる。水分解の知見そのものは間接効果を考えるうえで必要不可欠である。これと同時に、水中におけるエネルギー付与分布は生体分子へのエネルギー付与理論の理解を深めるうえで、水分解ラジカルの空間分布や時間挙動は数ナノ秒以内に形成されたDNA損傷がその後どのような変化を辿るか考察するうえで大きなヒントとなり得る。本講演ではこれまでHIMACで測定してきた水分解生成物の収量測定結果を最先端のモンテカルロシミュレーションとの比較から紹介する。

口頭

重粒子線誘発バイスタンダー効果が生体免疫能に与える影響

武藤 泰子; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 小林 泰彦

no journal, , 

近年、がんの重粒子線治療が注目されているが、生体免疫能の要となる免疫細胞は、がん腫瘍内・近傍に集積するため、治療による重粒子線照射が免疫細胞の連携に変化を引き起こし生体免疫能のバランスを崩すことで、治療成績に影響を与える可能性が存在する。また、高LETの重粒子線照射では、照射細胞が周辺の非照射細胞にも照射効果を誘導する現象:バイスタンダー効果の寄与が大きくなることから、生体免疫能への影響評価にあたっては、バイスタンダー効果を含めた検討が必須である。そこで本研究では、免疫細胞試料を重粒子線で全体あるいは部分的に照射し、重粒子線によるDNAや細胞膜の損傷が生体免疫能にどのように関与するかを、照射細胞が分泌する伝達物質の変化とその機構を中心に、バイスタンダー効果に焦点を当て解析した。5Gyの炭素線均一照射試料では、TNF-$$alpha$$の産生量が非照射対照と比べ50%以下に減少した。また、一部の細胞(0.45%)だけをヒットしたマイクロビーム照射でも、均一照射と同様にサイトカイン産生量が減少した。この結果は、一部の照射細胞がシグナル伝達物質を産生し、残り大多数の非照射細胞(99.55%)に照射効果を誘導したと考えられる。このことから、炭素線を低線量で照射した免疫細胞では、サイトカイン産生抑制のバイスタンダー効果が誘導されることが示唆された。

口頭

プラスミドDNAの変性-アニーリングを利用した多重塩基損傷検出のための新しい方法の開発

横谷 明徳; 鹿園 直哉; 藤井 健太郎

no journal, , 

Heイオンビーム等を照射したプラスミドDNAを塩基除去修復酵素(Nth及びFpg)処理すると、グリコシレース活性により生じる付加的な1本鎖切断(SSB)として酸化的塩基損傷が観測され、この収率はLETの増大とともに顕著に減少する(2006年大会)。この理由として、DNA分子上に損傷が局在化(クラスター化)することによるDNA鎖の構造変化が酵素活性を阻害し、見かけ上の塩基損傷収率が減少したためであると考えられる。しかし、このような多重に生じた塩基損傷を検出する実験的手法は現在まだない。そこでわれわれは、2007及び2008年大会で発表した、DNA変性を利用し1本鎖DNAとして鎖切断を定量する新しい非DSB性多重SSBの観測法をさらに発展させ、多重塩基損傷の検出を試みたのでこれを報告する。変性処理後の1本鎖プラスミドDNAを再び5$$^{circ}$$Cで30時間程度アニーリングさせた。この処理によりDNAの両鎖に生成していた多重損傷は、ほとんどの場合元とは別の相補鎖と対合することによりクラスター状態が解消されるため、再びグリコシレースによる塩基除去を受けることができる。講演では、変性/アニールの条件を検討し、実際にX線照射したプラスミドDNAに対して得られた予備的な結果を発表する。

口頭

AP site及びこれを含むクラスターDNA損傷収率の放射線の線質及びスキャベンジャー能に対する依存性

椎名 卓也; 菅谷 雄基; 白石 伊世; 渡辺 立子; 横谷 明徳

no journal, , 

本研究では電離放射線によって生じるDNA損傷のうちAP siteに着目し、難修復性のクラスターDNA損傷を構成する要素としてのAP siteの収率の放射線の線質依存性を明らかにすることを目的とした。AP siteが他の損傷とクラスターを構成することでその後の修復過程に大きく影響することが、多くの合成クラスター損傷を含むオリゴヌクレオチドを用いた実験により明らかにされつつある。われわれは、スキャベンジャー濃度をさまざまに変えたプラスミドDNAを試料として用い、これに異なる線質の放射線を照射した際に生じるAP siteとこれを含むクラスターDNA損傷の収率の違いを調べた。AP siteは、AP lyaseのひとつである大腸菌由来のEndoculeaseIV (Nfo)で処理することで、鎖切断として検出した。試料中のスキャベンジャー濃度を変えることで、AP site生成に果たす直接効果と間接効果の違いについても調べた。本講演では、X線及びHIMACから得られる高LETのCイオンビームの照射により、AP site及びこれを含むクラスターDNA損傷の生成過程の違いを議論する。

口頭

シロイヌナズナにおいて異なるLETの炭素イオンによって誘発される突然変異の特徴

長谷 純宏; 吉原 亮平; 野澤 樹; 玉置 雅紀*; 鳴海 一成

no journal, , 

高等植物における放射線誘発突然変異の特徴を明らかにするため、大腸菌の${it rpsL}$遺伝子をマーカーとして導入したシロイヌナズナを用いて$$gamma$$線とカーボンイオン(平均LET112keV/$$mu$$m)で誘発される突然変異の特徴を調査した結果、遺伝子内で起きる欠失のサイズが異なることを以前に報告した。この変異検出系を用いて、種子中でLETが極大になるようにカーボンイオンを照射した場合(平均LET402keV/$$mu$$m)、フルエンスあたりの致死効果はLET112に比べて高くなったが、${it rpsL}$遺伝子の変異頻度は非照射区と有意な差が見られなかった。この変異検出系では、変異した${it rpsL}$遺伝子を含むプラスミドをプラスミドレスキュー法によって回収しているため、本手法では検出できないような大規模な変異がLET402では多く誘発される可能性が考えられた。DNA二本鎖切断の修復に重要な役割を果たすLigase IVを欠損するシロイヌナズナと野生株における致死効果を比較した結果、LET402ではLET112に比べて生存曲線のDq値の差が極端に小さいことから、LET402では修復し難いDNA損傷が高い割合で誘発されると考えられた。さらに、LET402で起きている変異の特徴を明らかにするため、大規模な変異を検出できる実験系として、シロイヌナズナの${it GL1}$遺伝子並びに大腸菌由来の${it codA}$遺伝子をマーカーとして変異解析を進めている。本発表では、これらの変異の特徴について報告する。

口頭

非2重鎖切断型損傷による遺伝的不安定性の誘発

漆原 あゆみ; 児玉 靖司*; 横谷 明徳

no journal, , 

電離放射線の照射により生じるDNA2重鎖切断は、生存細胞に遺伝的不安定性を誘発する。しかし、遺伝的不安定性は数回$$sim$$数十回の細胞分裂を経た生存細胞に見られる現象であることから、2重鎖切断がそのまま保持され続けたのではなく、2重鎖切断の修復後に残存する何らかの損傷により誘発されるのではないかと考えられる。そこで本研究は、非2重鎖切断型の損傷である酸化型塩基損傷に着目し、2重鎖切断以外のDNA損傷によって遺伝的不安定性が誘発されるかを明らかにすることを目的として行った。本研究では2重鎖切断を生成しにくく、かつ酸化損傷を生成しやすい長波長領域のUVAを用い、微小核細胞融合法によってUVA照射ヒト21番染色体を非照射のマウスm5S細胞に移入し、酸化損傷導入細胞を作製し、ヒト21番染色体特異的なWCP-FISH法を用いてUVA照射染色体の解析を行った。また、レシピエントのマウス細胞の染色体については倍数性、及び二動原体染色体を主とする染色体型異常の誘発頻度を調べた。その結果、未照射の21番染色体移入マウス細胞がほぼ2倍体であったのに対して、UVAを照射したヒト21番染色体移入マウス細胞では多倍数体化が見られた。また、移入したヒト21番染色体だけでなく、未照射であるマウス染色体においても、異常染色体の出現頻度が未照射の場合と比べて高くなることが明らかになった。これらの結果は、UVA照射によって生じるDNA損傷により、不安定性が誘発されることを示唆している。

口頭

染色体異常ダイナミクスの数理モデル

大内 則幸

no journal, , 

放射線影響の指標としては、線量,DNA鎖切断の頻度、及び染色体異常の頻度がよく用いられている。それらは連続したイベントでありながら、線量-DNA鎖切断、及び線量-染色体異常の関係がおもに用いられ、線量-鎖切断-染色体異常という連続した関係に関してはあまりコンセンサスが得られていないように見える。今回、染色体自身の動態をいわゆるtoy-model的にモデル化し、さまざまな動的性質に関してコンピュータシミュレーションを用いて調べた。今回の講演では染色体のモデル化とそのダイナミクスに関して数理モデルから判明した染色体の伸長や変形、さらに切断時の動的振る舞い等、幾つかの物理的性質について報告する。

口頭

DNA損傷の空間分布と難修復性を考慮した生存率曲線の解析

渡辺 立子; 横谷 明徳; 鈴木 雅雄*; 鶴岡 千鶴*; 平山 亮一*; 古澤 佳也*

no journal, , 

一般に、哺乳動物の培養細胞の生存率曲線を標的説に基づいて解析すると、致死損傷量の線量効果曲線は、線形二次曲線でフィットできることが多いが、具体的に損傷のどのような条件が致死損傷となり、線量効果曲線において一次の項や二次の項を生むのかの総合的説明や修復機能との関係は不十分である。われわれは、致死損傷の実体を明らかにすることを目的とし、細胞致死と初期DNA損傷の関係に対する新たなモデルの提案を試みている。ここでは、実験的に得られた生存率曲線を線形二次モデルにより解析し、得られたパラメータから致死損傷の量を推定した。これを、おもにシミュレーションにより得られたDNA損傷の量・タイプ・核内での損傷間の距離等の相互関係に関する情報と比較することにより、致死損傷に結び付く条件を検討した結果について示す。特に、DNA初期損傷にかかわる条件として照射放射線のLET等の微視的なエネルギー付与分布、損傷修復経路にかかわる条件として照射時の細胞周期のそれぞれが生存率曲線に与える影響に着目して解析・議論する。

口頭

マウス移植腫瘍モデルによるHsp90阻害剤17AAGの放射線増感効果

高橋 桃子; 野口 実穂; 平川 博一*; 岡安 隆一*

no journal, , 

腫瘍治療法の一つである放射線治療は、他の治療法と比較して患者への負担が少ないことが利点である。しかしX線を使用した治療法の場合、放射線単独での固形腫瘍の治療は困難であるのが現状である。X線と薬剤を併用することにより腫瘍をより効果的に治療するための研究も進められている。その中で、野口らは放射線応答で重要な役割を持つシグナル分子に着目した。Hsp90ストレスによって発現が増加することが知られており、Hsp90を阻害することにより、下流にある癌化関連タンパク質の発現も抑えられることが考えられる。野口らは、Hsp90の分子治療標的薬剤である17AAGを用いて、X線との併用による放射線増感効果を検討した。その結果、腫瘍細胞に対してのX線との併用による有意な治療効果をみることができた。これを踏まえて、炭素イオン線を用いて17AAGとの併用による治療効果をマウスの${it in vivo}$モデルで検討し、X線での${it in vivo}$モデルの実験結果、${it in vitro}$での実験結果と比較して発表する。

口頭

8-oxoGを含むクラスターDNA損傷の誘発突然変異

野口 実穂; 漆原 あゆみ; 横谷 明徳; 鹿園 直哉

no journal, , 

8-oxo-7,8-dihydroguanine(8-oxoG)を含むクラスターDNA損傷と突然変異誘発との関連を調べた。8-oxoGと一本鎖切断を配置したモデルクラスター損傷を用い、8-oxoGは制限酵素認(Alw26I)識配列中に配置した。損傷を含むオリゴヌクレオチドをプラスミドにつないだ後、大腸菌に形質転換した。その後プラスミドを大腸菌から回収し、制限酵素により切断されない断片を定量し突然変異誘発頻度を求めるとともに、塩基配列を決定して変異の同定を行った。本実験から8-oxoGが一本鎖切断と同一鎖に存在すると変異が抑制されるが、相補鎖に存在すると変異が増大することが示された。クラスターDNA損傷による変異を塩基配列レベルで調べたところ、変異は8-oxoGに由来すると考えられた。クラスターDNA損傷による変異の誘発には、塩基損傷の修復に先立ち一本鎖切断の修復が関与していることが予測される。

口頭

線虫の咽頭ポンピング運動に対する放射線影響とその経時変化

鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 服部 佑哉; 辻 敏夫*; 小林 泰彦

no journal, , 

有人宇宙飛行のリスクや放射線治療の副作用を考える際には、生命維持に必要な生体機能に対する放射線被ばくの影響を知ることが重要である。発表者らはこれまでに、運動制御を担う神経が既知である線虫$textit{C. elegans}$を対象として放射線の影響を調べ、放射線により全身運動が一時的に低下することなどを明らかにした。本研究では、全身運動とは異なる運動への放射線影響を明らかにするために、咽頭筋のポンピング運動(咀しゃく・嚥下)に着目した。線虫に$$^{60}$$Co$$gamma$$線を照射し、照射直後から8時間後まで2時間おきに咽頭筋の運動を撮影した画像をもとに3秒間のポンピング回数を計数した。照射直後、線虫の咽頭のポンピング運動は、全身運動と同様、線量依存的に低下した。照射群の分布は、運動を停止する群と通常の運動を継続する群の二峰性の分布となり、全個体の運動が一様に低下する全身運動の結果とは質的に異なっていた。また、ポンピング運動は、照射後2時間で照射前と同程度まで回復し、その回復率は全身運動よりも高かった。以上から、放射線による運動低下のメカニズムは、運動の種類によって異なる可能性が示唆された。

口頭

蛍光消光現象を活用した放射線誘発DNA損傷の損傷位置ばらつき評価法の開発

赤松 憲; 鹿園 直哉

no journal, , 

電離放射線によって生じたDNA損傷は、完全に修復されなければ突然変異や発癌の原因になるといわれている。特に、高LET放射線の飛跡周辺や二次電子の飛跡末端で生じやすいとされているクラスター損傷(損傷が集中的に生じた所)は修復が困難とされているが、その実体はほとんど明らかになっていない。そこでわれわれは、このような仮説的な損傷を実験的に解明するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)等の蛍光消光現象を活用した損傷位置ばらつき評価法の開発を行っている。まず、モデル実験として脱塩基部位(AP)を真ん中に有するDNAオリゴマー(相補鎖2本)を作成し、その各々にdonor蛍光分子(D), acceptor蛍光分子(A)を結合させた。両者をアニーリングした結果FRETが生じることを確認した。また、D蛍光強度変化より算出したFRET効率からA-D間距離はおよそ4nmと見積もることができた。この値は、本モデルAP間距離(B型DNAの直径と同じと考えた場合、2nm)と蛍光分子長の二乗平均値(各$$sim$$1nm)から考えても合理的といえる。本発表ではFRETを含めた他の蛍光消光現象についても考慮しながら、本メソドロジーの放射線照射DNAへの適用の実際について報告する。

口頭

重粒子線誘発DNA2本鎖切断定量のための研究開発; パルスフィールドゲル電気泳動を用いた従来の定量法の問題点

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子; 坂下 哲哉; 菊地 正博; 小林 泰彦

no journal, , 

高LETの重粒子線は物質内を通過する際、イオン飛跡の近傍にエネルギーを集中して付与する。このため、重粒子線が生体に照射されると、細胞内のゲノムDNA上に2本鎖切断(DSB)をはじめとするさまざまな損傷が局所的に誘発され、正確な修復が困難になると考えられている。定量性など多くの点で優れているパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法によるDSB定量解析実験で、重粒子線は低LET放射線と比べ、ゲノム上の近接した位置にDSBを誘発することが示されてきた。しかし、PFGE法をもってしても、10kbp以内に隣接して誘発されるようなDSBの定量は困難であった。本研究では、局所的に生じるDSBの定量が困難な理由を探った。従来のPFGE法では、実験操作による余計なDNA鎖切断を防ぐため、照射細胞をアガロース片に包埋した状態で細胞溶解とDNA精製が行われた。われわれは、この方法ではアガロース片から一部のDNAが流失してしまうことを見いだした。これは、10kbpより短い間隔で生じるDSBの定量が困難であったことを裏付けるものである。

口頭

集束式重イオンマイクロビーム装置による細胞照準照射

舟山 知夫; 横田 裕一郎; 坂下 哲哉; 小林 泰彦

no journal, , 

重イオンの細胞影響の解明には、細胞を正確に狙って照射できる、細胞照射用重イオンマイクロビーム装置が必要である。これまで、原子力機構では、コリメーション式重イオンマイクロビーム装置を用いて、細胞への重イオン照射実験を行ってきた。しかし、より精密な解析を進めるためには、より精度の高い細胞照射実験を行う必要がある。そこで、TIARAのAVFサイクロトロンの垂直ビームラインに高精度なビームスポットを形成し、大気取り出しをすることができる集束式マイクロビーム形成装置を設置した。この装置を用いた、細胞への精密照準照射技術を確立することを目的に、真空窓直下に高精度細胞照準システムを設置し、このシステムを用いてHeLa細胞への照準照射実験を行った。実験では、イオン飛跡検出プラスチックCR39のフィルム上に播種した、蛍光染色した細胞の位置を、画像解析で自動検出し、その後、細胞に集束したネオンイオンビームを照準照射した。照射後、細胞にヒットしたイオンの位置を確認したところ、照準した細胞は集束したビームで正確に照射されていた。これらの結果から、集束式重イオンマイクロビームによる細胞への照準照射技術を確立できたと考えられた。

口頭

希薄プラスミドDNA水溶液への$$gamma$$線照射; 放射線誘起損傷の抗酸化剤エダラボンによる化学回復

端 邦樹; 漆原 あゆみ; 山下 真一; 鹿園 直哉; 横谷 明徳; 勝村 庸介*

no journal, , 

一般的に、抗酸化物質に期待される照射直後の防護メカニズムはラジカルを除去する化学的プロセスであり、これまでにOHラジカルの捕捉やdGMPラジカルに対する還元作用(化学回復)が報告されている。本研究では、放射線DNA損傷のエダラボンによる化学回復の存在を証明することを目的とした。直接効果が無視できるほどの希薄水溶液の系を考えた場合、エダラボンのOHラジカル捕捉が唯一の防護プロセスであるならば、OHラジカルにより生成する一本鎖切断(SSB)と塩基損傷の収率は同じ比率で抑制される。もし化学回復が起こると、SSBに対する塩基損傷収率の比率は、DNAの立体構造とエダラボンの可触性の兼ね合いから変化する可能性がある。そこで、エダラボン添加によるDNA上のSSBと塩基損傷の比を調べた。エダラボンを添加した10ng/$$mu$$lの希薄プラスミドDNA水溶液に対して$$gamma$$線照射した後に、塩基損傷を酵素処理によって検出し電気泳動により各損傷を定量した。抗酸化剤添加に伴う各損傷の生成パターンの変化から抗酸化剤による化学回復の有無について調べた。測定の結果、塩基脱離部位(APサイト)と呼ばれる損傷に対してエダラボンが選択的に化学回復するということが示唆された。

口頭

スピントラップ剤CYPMPOによる$$gamma$$線照射水分解生成物捕捉とその安定性

岡 壽崇; 山下 真一; 佐伯 誠一; 横谷 明徳; 勝村 庸介*; 上林 將人*

no journal, , 

代謝で発生する活性酸素種と生体内障害との因果関係の解明においては$$^{bullet}$$OHやO$$_{2}^{bullet -}$$といった活性酸素種に関するフリーラジカルの挙動を明らかにする必要があり、これらのフリーラジカルの選択的検出及び定量が不可欠である。これらのフリーラジカルは水の放射線分解においても発生し、その挙動を理解することは放射線治療の間接効果を検討するうえでも役立つ。われわれはこれまで、CYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxy cyclophosphoryl)-5-methyl-1- pyrroline N-oxide)を用いて$$^{bullet}$$OH付加体やHO$$_{2}^{bullet}$$付加体といった活性酸素種の選択的な検出を行うにあたり、パルスラジオリシス法によるCYPMPOと水分解生成物の反応速度定数の決定を行ってきた。CYPMPOによって捕捉されたこれらラジカル種はESR測定において異なる信号として観測が可能なため、CYPMPOによる選択的定量が期待されている。そこで本研究では生体の主成分である水への$$gamma$$線照射によって得られる水分解生成物のCYPMPOによる捕捉を行い、特に酸性系におけるCYPMPO付加体のESRスペクトル取得と、その安定性を調べた。

口頭

$$gamma$$線照射によるDNA切断の一塩基対ごとの位置特定

坂本 文徳; 五十嵐 翔祐*; 大貫 敏彦

no journal, , 

DNAは放射線によって損傷を受けることが知られており、損傷の種類,修復機構などが研究されている。しかし、これまでその切断位置の特定や切断位置の特異性などは詳しく研究されてこなかった。そこで本研究では、$$^{60}$$Co$$gamma$$線を照射してDNAを切断し、独自に開発した手法により一塩基単位でその切断位置を特定した。その結果、80%以上の切断が、DNA二次構造におけるループ状で発生しているとの結果を得た。

口頭

変異誘発効果から見る紫外線及び電離放射線の高等植物に対する影響; シロイヌナズナを用いた突然変異スペクトル解析

吉原 亮平; 滝本 晃一*; 長谷 純宏; 野澤 樹; 坂本 綾子; 鳴海 一成

no journal, , 

シロイヌナズナの核ゲノムに大腸菌由来の${it rpsL}$遺伝子を持つプラスミドを組み込むことにより、新たな突然変異検出システムを構築し、紫外線や電離放射線の生物影響を遺伝子レベルで明らかにすることにした。本変異検出システムを用いて紫外線誘発変異を解析した結果、主要な紫外線誘発DNA損傷であるシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)に起因すると考えられるG$$rightarrow$$Aトランジション変異の頻度が非照射区に比べて上昇した。次に、CPDを効率的に修復するCPD光回復遺伝子をRNAiにより発現抑制し、紫外線高感受性となったシロイヌナズナを作製した。このRNAi個体を用いて変異スペクトル解析を行った結果、野生型に比べてG$$rightarrow$$A変異の上昇に加えフレームシフト変異の頻度も上昇した。次に、電離放射線による誘発変異を調査するために、$$gamma$$線及び炭素イオンビーム(LET 121.5keV/$$mu$$m)をシロイヌナズナ乾燥種子に照射して、変異スペクトル解析を行った。その結果、$$gamma$$線では炭素イオンビームに比べて、サイズの小さな欠失変異が誘発される傾向があることが示された。

口頭

モデルから見たシステム生物学の現況と放射線生物学への適用例

坂下 哲哉

no journal, , 

生命現象を総合的に理解することを目指して、システム生物学の研究分野が発展しつつある。また、近年、欧米諸国を中心としてシステム生物学を放射線生物学に適用する試みが進行している。このシステム放射線生物学の現況を、計算モデルの観点から簡略に述べる。例として、p53, MDM2たんぱく質からなるフィードバックループを挙げて、このループに対する放射線の作用の機序とレスポンスの仕方を概説する。特に、Proctor博士らの研究に焦点を当てて、彼らの研究の特徴について述べる。最後に、今後の可能性について議論する。

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